人がかかる可能性がある病気のうち、日々の生活の中で予防できる口腔病。
歯周病をはじめとした口腔病は、口の中、主に歯に対してさまざまな症状があらわれるのが特徴です。
症状があらわれて最初のうちは自覚症状がなく、はっきりとした痛みを感じた頃には症状が進行してしまっていることがほとんどです。
口腔病が他の症状の引き金になることもあり、歯や歯茎に症状がある場合は不眠や頭痛、食欲不振などが引き起こされる可能性があります。
また、歯周病は糖尿病や心臓病といった重篤な症状を悪化させることもあり、大変危険です。
そのため、日常的にオーラルケアやデンタルケアを行い、口腔病を発症しないよう予防することが大切です。
オーラルケアとデンタルケアは、どちらも口腔内の健康を保つ目的で行われるケアです。
同じものとして考えてしまう方もいらっしゃるかと思いますが、オーラルケアとデンタルケアはそれぞれ異なるケアです。
2つのケアのうち、オーラルケアは体の健康のために歯を含めた口腔内を清潔に保つ目的で行われます。
口腔衛生を清潔な状態にすることで、歯肉炎や歯周病などの口腔病を発症しないようにします。
一方、デンタルケアは歯や歯茎に関するケアのことで、歯を健康する目的で行われるものと歯を美しく保つ目的で行われるものがあります。
虫歯を予防したり、歯の黄ばみや歯並びを改善したりして、歯を健康にして美しさを与えます。
このように、オーラルケアとデンタルケアは似ているようで異なるもののため、目的にあわせて行うのが大切です。
・自覚症状が少なく、気付いた頃には悪化していることが多い
・歯や歯茎の症状は不眠や頭痛、歯周病は重篤な症状の引き金になることがある
・オーラルケアは口腔全体、デンタルケアは歯や歯茎の健康維持に効果的
虫歯や歯周病など、口腔病を発症する原因の多くはプラークです。
口腔内に存在するミュータンス菌という細菌が原因で作られる物質で、1/1000gの中に1億を超える細菌を含む細菌の塊です。
1億!?私達の口の中ってそんなにたくさんの菌がいるの・・・?
想像以上の数だよね…。このプラークを残さないってのが大事なんだろうね。
これが歯に付着し、口腔内の細菌がプラークの中で増殖することにより、毒素が作られて歯茎を腫らしたり歯の周りの骨を溶かしたりして口腔病を引き起こします。
また、プラークは接触している歯の表面を溶かしてしまうため、歯に穴があいて虫歯に繋がります。
口腔内の衛生環境を適切に保たれていないと、プラークが十分に取り除かれず、口腔内に残ってしまうので口腔内の衛生不良も原因の1つとして挙げられます。
人によっては口腔病、特に歯周病になりやすい方もいらっしゃいます。
喫煙をする方や歯と歯茎の境目にある歯周ポケットが深い方、ストレスが多い方が該当します。
特に、喫煙者の方は注意が必要で、習慣的に喫煙をする方はそうではない方と比べ、約3倍も歯周病にかかりやすいといわれています。
日頃から喫煙をしている方は、特に口腔環境に気を使い、症状を引き起こさないよう注意しましょう。
ほかにも、年齢や遺伝、白血球機能などによる宿主因子の影響もあります。
体の免疫機能が低下していると、感染症をはじめとしたその他の病気だけでなく、口腔病にかかる可能性も出てきます。
普段、鼻ではなく口で呼吸する習慣があると、粘膜や歯茎が乾燥して炎症を起こしやすくなるため、鼻呼吸の方に比べて口腔病を発症する可能性が高くなっています。
噛み合わせが悪い方や歯ぎしり、食いしばりなどによって歯に強い負担がかかっている方も口腔病にかかる危険性がありますので注意しましょう。
治療・予防(薬以外にも外科的治療などがあれば含めても良い)
虫歯や歯周病などの口腔病が発覚した際は、症状にあわせた治療が行われます。
まだ歯に穴が開いていない初期段階では、歯を再石灰化させて進行を食い止める治療が選ばれます。
口腔内にプラークが蓄積しないようにしつつ、歯にフッ化物をはじめとした再石灰化に効果的な薬剤を塗布して行われます。
すでに穴が開いてしまっている場合、歯を削って病巣部を取り除く治療が行われます。
歯を削ることで歯の象牙質に侵入した細菌を取り除き、削った箇所に金属やセラミックスなどで作られた詰め物や被せ物をして歯の形に整えます。
まず歯周基本治療が行われます。
スケーリングで症状を引き起こしている歯垢や歯石を取り除き、必要に応じてルートプレーニングも行われます。
これにより、ざらざらした歯の表面をなめらかにし、歯石で満たされたり毒素や細菌で汚染されたりしている表層を取り除きます。
症状の進行具合によっては、歯を削って悪くなっていた噛み合わせを調節し、正常な状態に整えます。
歯がぐらついて噛みにくくなっている場合は、歯科用の接着剤で隣の歯と接着して補強し、ぐらつきを抑えます。
これらの治療によって歯周組織の悪化が改善されたと判断され、歯周ポケットの深さが浅い状態で維持されていることが確認されると定期検診に移行します。
基本治療で十分な効果が得られなかった場合、外科的な治療で歯周ポケットを浅くします。
また、部分的に失われた骨を再生させる再生療法で治療することもあります。
口腔病の予防に効果的な一番の方法は、適切な歯磨きです。
毎日の歯磨きをしっかり行い、口腔内にプラークが蓄積しにくい清潔な状態を保つことによって、多くの口腔病を予防できます。
歯磨きのときに使う歯磨き粉の中には、歯周病予防用に開発されたものもあり、そういった歯磨き粉を使えば予防効果を高めることができます。
しかし、正しい方法で歯磨きを行わなければ効果が半減してしまうので、正しい歯磨き法を身に着けましょう。
日々の歯磨きとあわせて、定期的に歯科医院で健診を受けるのも有効です。
半年に一度のペースで歯科医院に足を運び、口腔内の検査や専門的なケアを行うことで、口腔病にかかる可能性をさらに低くできます。
定期健診では、歯ブラシや歯磨き粉などの正しい使い方も指導してもらえるので、毎日のケアの効果を高めることもできます。
虫歯や歯周病の早期発見にも繋がるため、定期的に健診を受けるようにしましょう。
歯医者に行くたびにブラッシング指導されるけど、いまだに歯医者さんに歯磨きをほめられたことがない…。冬男はどう?
僕はかわいい歯科衛生士さんに歯石を取られるのがなんか恥ずかしいかな…。あれ痛いし…。
ちゃんとやっているつもりでも歯石も溜まるし、虫歯にもなっちゃうよね…。だからこそ定期検診が大事なんだよね。でも、何回か行くとサボっちゃうんだよね。
気持ちはすごくよく分かるけど、虫歯は大きくなったあとの治療のほうが時間もお金もかかっちゃうからね。定期検診にちゃんと行くことが一番だね!