不妊症について

子供を望んでいる夫婦の悩みの1つに不妊症があります。

不妊症は、妊娠を望んでいる健康な男女が避妊せずに性行為をしているのにも関わらず、妊娠しない症状です。

日本産科婦人科学会では、1年以上避妊をせずに性行為をしているのに妊娠しない状態と定義づけており、この定義に当てはまった場合、不妊症と診断されます。

通常、一般的に結婚を考える年齢の男女が避妊せずに夫婦生活を送っていた場合、結婚して半年で7割、1年で9割、2年で10割が妊娠するといわれています。

しかし、不妊症の疑いがあるとなかなか妊娠せず、時間だけが経っていってしまいます。

約10組に1組が不妊症の疑いがあるといわれていますが、最近では妊娠を考える年齢が上昇しているため、もっと多くの方に不妊症の疑いがあると考えられています。

不妊症の疑いがあるときはできるだけ速やかに検査を行い、治療を始めるのが大切です。

不妊症の3つのポイント

ポイントを紹介する医者

・避妊せずに性行為をしているのに妊娠しない症状

・1年以上避妊していないのに妊娠しない場合と定義づけられている

・加齢によって妊娠しにくさが上がるので速やかな治療が重要る

不妊症の原因

不妊症の原因のうち、男女共通しているのが加齢による影響です。

先ほども軽く触れたように、妊娠しやすさは加齢によって低下していきます。

女性は30歳を過ぎると自然と妊娠する力が低下しはじめ、35歳を過ぎると子宮内膜症などの合併が増えたり卵子の質が低下したりして妊娠しにくい状態になってしまいます。

一方、男性は35歳ごろから徐々に精子の質が低下しはじめ、妊娠しにくい状態に変化します。

このように、年齢が上がれば上がるほど体は妊娠しにくい状態に変化してしまうため、注意が必要です。

女性側の原因

排卵因子

極端な月経不順があると、月経を思わせる出血があっても排卵が起きていないことがあります。

排卵は、女性ホルモンに影響を与える病気や、極度の肥満や体重減少、ホルモンバランスが崩れることなど、さまざまな原因によって起きなくなります。

そのため、排卵が起きていないことが原因で不妊症を引き起こしている場合、まずは排卵が止まっている原因を突き止めて先にそちらを治療する必要があります。

卵管因子

何らかの原因で卵管に炎症が起きている場合、卵管が詰まってしまうことがあります。

代表的な性感染症であるクラミジアは、卵管炎や骨盤腹膜炎の原因になることがあり、クラミジアにかかったことがある方は注意が必要です。

また、子宮内膜症の影響によって卵管周囲が癒着して詰まってしまっている場合もあります。

強い月経痛がある方や、クラミジアにかかったことがある方で不妊症の疑いがあるときは、一度検査を受けてみましょう。

頸管因子

子宮頸管は、子宮の入り口を巾着のように開閉させる働きがある働きがある部分です。

内部は粘液で満たされており、排卵が近づくと精子が通りやすい状態に変化します。

しかし、粘液の分泌が十分でなかったり、精子が通り抜けにくい性質になっていたりすると、精子が上手く子宮内に侵入することができなくなります。

その結果、精子と卵子が上手く出会うことができず、不妊症の症状につながります。

免疫因子

通常、免疫機能は細菌やウイルスなどの異物に対して反応し、これらの異物が体内に入り込んできた際に働きます。

しかし、女性の中には抗精子抗体という精子を異物と判断して攻撃してしまう抗体を持っている方がいます。

この抗体が子宮頸管や卵管の中で分泌されてしまうと、精子が攻撃されて運動性を失ってしまい、不妊症につながってしまいます。

抗精子抗体は、不妊症状がある女性の3%が持っているといわれています。

子宮因子

子宮に原因がある場合、子宮筋腫や子宮の先天的な形態異常などが考えられます。

また、子宮内膜の血流が悪かったり、過去の手術や炎症の影響で子宮内に癒着があったりする場合も不妊症につながることがあります。

これらの症状があると、子宮内に到達した胚がくっついてしまい、成長が妨げられて上手く妊娠できないようになってしまっています。

超音波検査や子宮通水検査で確認できるため、気になる方は一度確認してみましょう。

男性側の原因

造精機能障害

精子の数が少ない、もしくは無い、あるいは精子の性状が悪いなどの原因がこれに該当します。

何らかの理由で精巣内の温度が高くなっていると、正常に精子が作られなくなり、精子の数や運動性が低下してしまいます。

特に原因がないのに精子が作られない場合もあるので、注意しましょう。

精路通過障害

正常に精子が作られていても、その通り道が詰まってしまっていることがあります。

この場合、射精しても精子が上手く精管を通り抜けられず、精子が排出されずに不妊症につながります。

過去に精巣上体炎をはじめとした病気を発症し、炎症を起こしたことがある方は気をつけましょう。

性機能障害

勃起障害や膣内射精障害などの症状も、不妊症の原因として数えられます。

多くの場合は精神的なプレッシャーやストレスなどが原因と考えられていますが、場合によっては糖尿病をはじめとしたその他の病気が原因になっていることもあります。

すでにこれらの症状がある場合、先にこちらの症状を治療しましょう。

不妊症になりやすい人

女性の場合、月経に何らかの異常がある方は不妊症になりやすい傾向にあります。

以前よりも生理痛がひどくなった方や排便痛がある方、性交痛がある方も注意が必要です。

特に子宮内膜症の症状があると、妊娠する可能性が低くなり、不妊症のリスクが高まるので注意しましょう。

また、クラミジアや淋病などの性感染症にかかったことがある方も不妊症になる可能性があります。

男性で不妊症になりやすい傾向にある方は、喫煙や飲酒をする方、野菜不足の方などです。

特に、喫煙者の方はそうでない方と比べて精子量が10~17%減少し、精子の運動量も減少するという結果が出ています。

また、コレステロールが不足していると精子が未熟になってしまい、男性不妊につながってしまうことがあります。

疲労やストレスが多い方、肥満の方も不妊症になりやすいので気をつけましょう。

不妊症の治療・予防法

不妊症の治療法にはさまざまなものがあり、タイミング法や人工授精、体外受精が有名な方法です。

これらの治療法のうち、もっとも一般的で最初に行われるのがタイミング法です。

タイミング法では、排卵日を正確に把握し、妊娠しやすいタイミングに合わせて性行為を行います。

排卵が起きていない場合や排卵の状態がよくない場合、排卵誘発剤を併用して卵胞の発育と排卵を促すこともあります。

人工授精では、精液を人工的に子宮内へ注入して不妊症の改善を目指します。

性行為を排卵日に行ってもなかなか妊娠しない場合や、精子に不妊の原因があると考えられる場合にこの方法が選ばれます。

また、ヒューナーテストの結果がよくなかった場合も、人工授精が行われます。

一定期間人工授精を行っても不妊症が改善されなかった場合、体外受精が行われます。

その名のとおり、体外で受精させて受精卵を作り、それを子宮内に戻して不妊症を改善するのが特徴です。 以前は高度な治療法でしたが、現在では一般的な不妊治療法の1つとして数えられています。